8月7日(金)、四日市商工会議所にて「誰一人取りこぼさない子育て支援―双子・三つ子家庭に必要な支援を考えるフォーラム―」を開催しました。

当日は、多胎家庭をはじめ、行政・医療・福祉・保健・子育て支援などに携わる30名を超える皆さまにご参加いただきました。

事前にお申し込みくださった方だけでなく、当日会場へ足を運んでくださった方もいらっしゃり、多胎家庭への支援に対する関心の高さを感じる一日となりました。

ご登壇いただいた皆さま、ご参加くださった皆さま、開催に向けてご尽力くださった関係者の皆さまに、心より御礼申し上げます。

さまざまな立場から「これからの多胎支援」を考える

今回のフォーラムでは、行政・医療・支援者・当事者、それぞれの立場から、多胎家庭が抱える課題と必要な支援についてお話しいただきました。

四日市市の子育て支援の取り組み

四日市市長・森 智広氏から、四日市市が進めている子育て支援と、多胎家庭への支援の取り組みについてお話しいただきました。

訪問看護による多胎家庭支援

こども訪問看護ステーションmomの助産師・近藤綾子氏から、妊娠期から産後まで切れ目なく多胎家庭に関わることの重要性や、訪問看護の現場で行われている支援についてお話しいただきました。

データから見る多胎支援の必要性

一般社団法人日本多胎支援協会理事・四日市大学特任助教の松本彩月氏から、全国調査のデータをもとに、多胎家庭が抱える育児負担や孤立、支援の必要性についてお話しいただきました。

パネルディスカッション

後半には「多胎支援の未来を考える―地域・医療・行政・支援者の連携―」をテーマに、パネルディスカッションを行いました。

それぞれの専門的な視点に加え、当事者としての経験や思いも共有しながら、多胎家庭を地域でどのように支えていくのか、今後必要となる連携について考えました。

「知らないから支援できない」から、「知っているから支えられる」へ

多胎家庭が抱える外出の難しさ、慢性的な睡眠不足、心身の疲労、育児負担の大きさ、そして孤立。

こうした現状は、実際に多胎育児を経験しなければ伝わりにくく、母子に関わる専門職であっても、十分に知られていない場合があります。

まずは、多胎育児の現状を知ってもらうこと。そして、行政・医療・保健・福祉・子育て支援など、さまざまな立場の人がつながること。

今回のフォーラムが、「知らないから支援できない」から「知っているから支えられる」へと変わる、一つのきっかけとなることを願っています。

主催者として、フォーラムを終えて

ここからは、主催者として、少しだけ私自身の思いを綴らせてください。

私は、三重県多胎育児サークルふたばの設立者であり、共同代表を務めている古川と申します。現在、6歳の双子の男の子を育てています。

ふたばを立ち上げた原点

ふたばを立ち上げる原点となったのは、私が双子を妊娠していた年に知った、愛知県豊田市で三つ子の次男が亡くなった事件でした。

事件そのものの痛ましさはもちろんですが、母親が「もう限界だ」と助けを求めたときに、十分な制度や受け皿、セーフティーネットがなかったことに、私は強い危機感を抱きました。

多胎育児は、外からは「かわいい」「一度に育っていいね」と見えることがあります。

しかし、その陰には、同時に泣く子どもたちへの対応、慢性的な睡眠不足、外出の難しさ、心身の消耗、そして孤立があります。

多胎は約100組に1組といわれています。

「人数が少ないから、声が届きにくいのは仕方がない」

私は、どうしてもそう思うことができませんでした。

「人数が少ないなら、声を集めればいい」

そんな真っすぐな思いから仲間を募り、ふたばを立ち上げました。

私を突き動かしてきた思い

私をここまで突き動かしてきたのは、きれいな正義感だけではありません。

「こんな不条理なことがあってたまるか」という怒りでした。

多胎家庭における虐待死の発生リスクは、単胎家庭より高いことが指摘されています。

それは、多胎の親に愛情がないからではありません。通常を超える育児負担に加え、睡眠不足や孤立、心身の疲弊が積み重なり、家庭だけでは抱えきれない状況に追い詰められてしまうことがあるからです。

高いリスクが認識されているにもかかわらず、必要な予防や支援が十分に届かず、家庭だけの自己責任とされてしまう。それは、おかしいのではないか。

大変さが何倍にもなるのなら、それに見合う支援があっていい。

分かっていながら放置されるのであれば、それは防ぎようのない出来事ではなく、社会の仕組みによって生まれる問題ではないか。

そう考えてきました。

「双子でなければよかった」と思った自分を責めないで

大切で愛しい我が子なのに、あまりのつらさに「双子でなければよかった」と思ってしまう。そして、そう思った自分を責める。

私自身にも、そんな瞬間がありました。

しかし、それは愛情が足りないからではありません。まともな判断をする余力さえ失うほど、睡眠不足と疲労の中にいるからです。

何年たっても、同じように孤独の中で追い詰められる多胎家庭がいる。もしかしたら、この瞬間にも、どこかで限界を迎えている家庭があるかもしれない。

「急がなくては」
「この負の連鎖を、ここで断ち切りたい」
「未来はきっと変えられる」
「多胎の子どもを授かったことを、心から『よかった』と思える社会にしたい」

その思いで、これまで当事者の声やデータを集め、展示や要望活動を続けてきました。

そして今回、ずっと実現したいと思い描いてきた多胎フォーラムを、ようやく開催することができました。

四日市から全国へ届けたい

四日市市では、この数年間、私たち当事者の声に耳を傾け、多胎家庭に必要な制度や支援を一つずつ形にしてくださいました。

その歩みと、当事者・行政・医療・支援者それぞれの声を、会場に来られた方だけのものにせず、全国へ届けたい。

今回のフォーラムを後日YouTubeで配信するのは、そのためです。

この発信が、どこかの地域で誰かの心に届き、新たな理解や支援、行動が始まるきっかけになることを願っています。

支えてくださったすべての皆さまへ

ご登壇を快くお引き受けくださった講師の皆さま、森市長、四日市市役所の皆さま、担当部署の高森さん。

司会・進行・撮影・運営に携わってくださった皆さま、そして、ふたばのメンバー。

特に、ここまで一緒に歩んでくれた共同代表のはなちゃん、専門的な立場から三重県の多胎支援制度の拡充にともに尽力してくださった彩月さんに、心から感謝しています。

一人では、決してここまで来ることはできませんでした。

今回のフォーラムを終え、私の中では、大きな山を一つ越えたような気持ちです。

今期はまだ予定している活動があるため、年内は引き続き、一つずつ丁寧に取り組んでいきます。

そして来期からは、自分自身の生活も大切にしながら、心に少し余裕を持ち、支えてくださる方への感謝を忘れずに、ふたばの活動を続けていきたいと思っています。

フォーラム動画について

フォーラム当日の映像は現在編集中です。

9月までの公開を目指していますが、完成まで少しお時間をいただきます。準備が整い次第、ふたばのInstagramおよびホームページでお知らせします。

当日ご参加くださった皆さま。
会場には来られなくても、応援し、配信を楽しみにしてくださっている皆さま。

本当にありがとうございました。


主催:三重県多胎育児サークルふたば
後援:四日市市・三重県

本フォーラムは「ささえあいのまち創造基金」および「こくみん共済 coop 地域貢献助成」の助成を受けて実施しました。